翡翠の鑑別書を見ると、『通常ワックス加工が行われています』という記事内容が記載されています。これは、購入したヒスイ、もしくは採取したヒスイに「ワックス加工がされている」という意味ではありません。ワックスなしのヒスイにも、鑑別書には、一般論としてこの文言が入るそうです。どうしても、自分の持っているヒスイに、ワックス加工があるのかないのかを調べたい場合は、調べてもらうことは可能だそうです。しかし、ヒスイは、緻密な結晶の集合体であるため、例えば勾玉手磨きの皮脂さえも浸透してしまうとのこと。それにより油分が検出されてしまうそうです。(詳しくは、ジョイテックさんの「ヒスイTV」参照。)
つまり、理論的には、「ワックス加工なし」の勾玉を希望する場合は、軍手を使って破断したヒスイ原石を、軍手かビニル手袋をしたまま成形し、バレル研磨して(手で触れないため)、軍手(もしくは宝石商や高級時計屋が使う白い手袋)で梱包して中央宝石研究所に送って鑑定してもらう。そうすれば、鑑別書は「ワックス加工なし」になります。ただし、以降も手で触ってはダメです(笑)。そんな勾玉でいいですか?勾玉は手で触ったり、握ったりしたいですよね。
さて、ここで本題。糸魚川でヒスイ探しをしていると、信じられないくらい「ヒスイ自慢じいさん」に出会います。その人たちは、ヒスイをポケットに入れたり、小ケースに入れたりして持ち歩いていて、話をふっかけやすそうな、割と若い人、観光客やビギナーなどを探して話しかけてきます。目的はただ、ただ、「ヒスイを自慢」し、「ヒスイ採取のうんちくを上から目線で話す」ことです。そんなことで自己顕示欲を満たすことが私には驚きですが、それはさておき、その方たちのヒスイは、だいたい「テカテカ」しています。よく見てみてください!必ずと言っていいほどテカテカしていますよ(笑)実は・・・もうお分かりですね。その理由は、そのじいさんの手垢!なんですよ。触りすぎて、皮脂が浸透してテカテカしているのです。普通、海や川で見つけたヒスイは、最初からそんなにテカテカしていません。ヒスイですから、川ズレ、特に海石はすべすべはしていますが、そのじいさんたちのヒスイのようにテカテカはしていないのです。
つまり、糸魚川ヒスイの「ヒスイ自慢、ヒスイ採取うんちく爺さん」たちのヒスイは、その爺さんたちの手垢(皮脂)により自然にワックス加工されています。
恐るべき、エンハンスメント。