海石って何?

ミネラ No.62 2019年 12月号 【雑誌】

価格:1,265円
(2019/12/5 17:26時点)
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糸魚川翡翠には、「海石(うみいし)」「川石(かわいし)」というくくりがあり、「海石」は海で自然研磨されたものとして、そのまま愛でる対象として価値を見出されています。また、海で宝石が見つかるという、世界でも稀有な存在として、その価値が高く評価されているようです。「川石」は「海石」に比べると、自然研磨が足りないという解釈なのか、「海石」と比較すると評価が下がる傾向があるようです。糸魚川翡翠ならではの、不思議な価値観ですね。ただ、「川石」も「川ズレ」という言葉があり、川で程よく角が取れ、堅牢な翡翠ならではの、角張った形を残した、自然のままの美しい形状の翡翠が見つかります。

 

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2015年姫川中流のヒスイ 1.5キログラム

 

糸魚川翡翠は、他の鉱物採集と異なり、露頭(ろとう)と呼ばれる地層や岩石が露出している場所、鉱脈が見つかっていません。蛇紋岩帯の地滑り(土砂崩れ)によって、流域に翡翠が産出するというのが一般的な見方となっています。

ここで「山石(やまいし)」の存在が注目されるのです。品川の翡翠原石館の糸魚川翡翠は、かつて河川だった所の土地を買い取って、そこを掘り返して巨大な翡翠を見つけ出したと伺いました。かつては「川石」だったのかもしれませんが、土中の翡翠を見つけ出したという意味では、ある意味「山石」なのでしょう。今でも、河川工事などで、河原や河原の斜面が掘り返されることで、驚くほど美しい「山石」の糸魚川翡翠が発見されています。翡翠採集としては、非常に難易度の高い領域だと思います。

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小滝の山石 接写1

 

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小滝の山石 接写2